この記事で「翻訳家に必要な英語力とTOEICスコア」についてお話しさせていただきます。
「将来翻訳家になりたいけど自分の英語力で大丈夫かな?」と不安な人も多いと思います。
テレビなどでたまに出ている翻訳家兼、通訳の女性を見てるとすごく英語力が高くで、自分なんかに務まらないのでは?と感じてしまいますよね。
しかし努力次第で翻訳家になることはできます。
また翻訳家と一口に言っても、英語の小説を翻訳するだけが翻訳家ではありません。
そのほかにも実務翻訳といって、ビジネスや医療関連の翻訳を行う仕事もありますし、映像翻訳といって映画の翻訳をする仕事もあります。
それぞれ求められる英語力は違いますが、アルバイトでもできる仕事もあります。
この記事ではその辺りについて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
翻訳家に必要は英語力はTOEIC850点
翻訳家になるために必要な英語力は高いため、一般的にはTOEICスコアや英検の上位レベルが求められることが多いです。
ただし、翻訳家になるために絶対に必要なスコアやレベルというわけではありません。それぞれの試験に関して、どのようなスコアやレベルが望ましいか説明します。
TOEICスコア
翻訳家を目指す場合、TOEICスコアは850点以上が望ましいとされています。特に、ビジネス翻訳や専門分野の翻訳を行う場合は、950点以上を目指すことが良いでしょう。TOEICスコアが高いことは、英語力を証明するために有利ですが、翻訳スキルや専門知識も同様に重要です。
しかしこのように書かれているものの、個人的には翻訳になるには最低でもTOEIC950点は必要だと考えてます。
なぜならそれ以下だと英語という言語をまだ理解できていない可能性があるので、能力不足と言わざるを得ません。
翻訳チェッカーの仕事であればTOEIC850点程度。プロの翻訳であるなら950点は最低でも必要かと思います。
英検
英検では、翻訳家を目指す場合、1級や準1級の取得が望ましいとされています。これらのレベルは、高度な英語力が必要であり、英語での読解、ライティング、リスニング、スピーキングなど、総合的な英語力が試されます。
ただし、英検の取得だけでは翻訳家に必要なスキルがすべて身につくわけではないため、実践的な翻訳スキルや専門知識を磨くことも重要です。
結論として、TOEICや英検の高いスコアやレベルは英語力の証明となりますが、翻訳家になるためには、それだけでは不十分です。翻訳スキルや専門知識を磨き、実際の翻訳作業をこなせる能力を身につけることが重要です。翻訳関連の資格や独学、翻訳学校での学びなどを通じて、総合的なスキルを向上させましょう。
翻訳家に求められる能力
高い英語力
英語翻訳家にとって高い英語力は不可欠です。
まず、様々な文章や文献を読み解くリーディングスキルが必要で、英語の文章を素早くかつ正確に理解し、翻訳作業を効率的に進めることができるようになります。また、専門用語や固有表現、イディオムなどにも対応できる力が重要です。
オーディオやビデオの翻訳を行う場合には、英語の発音やアクセントを正確に理解し、聞き取った内容を翻訳するリスニングスキルが重要になります。
さらに言語力だけでなく、英語圏の文化、慣習、歴史などを理解する文化的理解力も英語力に含まれます。これにより、翻訳の質が向上し、文化的背景を把握することで、言語のニュアンスを正確に捉え、適切な翻訳が可能になります。
英語力を高めるためには、英語の勉強だけでなく、英語圏の映画やドラマ、書籍、ニュースなどに触れることが有効です。また、海外の友人や知人との交流や、留学・海外赴任などの経験も役立ちます。
読む能力
翻訳家になる上で英語力はもちろん重要ですが、それは最低限必要なことです。最高レベルの英語力があることは大前提で、翻訳家としては英語力はそこまで武器にならないでしょう。
それよりも「読む能力」の方が重要です。
なぜなら英語を正確に翻訳するのはもはやAIや翻訳機の方がうまくできるからです。DeepLやChatGPTを使ったことがある方ならわかると思いますが、下手な翻訳家が翻訳するよりもレベルの高い文章が出てきます。
私はTOEIC950点以上を持っていますが、正直AIの方が速いし正確です。
このような状況の中で翻訳家に求められるのは「読む能力」です。
つまり英語の文章の裏にある「ストーリー」「感情」「意図」「時代性」を読み取る能力です。
例えば小説の翻訳をするにしても、シーンによって当然ながら登場人物の口調は変わりますよね?「キャラクターの性別」「上下関係」「シチュエーション」などによって丁寧な言葉を使ったり、あえて汚い表現を使う必要もあります。
日本語力
読む能力にもつながるのですが、それを日本語にする「日本語力」も必要です。もはやAIや翻訳機が発達した今の時代においてはこっちの方が重要かもしれません。
インターネット上で悩んでいることについて検索しているときに、GoogleやChatGPTにそれを打ち込んでも、当たり前の答えしか返ってこず、何にも役に立たないと感じることがあるはずです。
しかしTwitterで見つけた本の140文字の文章が、完全に自分が感じていたことや、自分が言いたかったことを全て言語化していて、スッキリしたと感じることがあるはずです。
日本語力とはそのようなものです。
英語を正確に翻訳するのは翻訳家として当然の能力として、それをどううまく表現するかが重要なのです。
同じ英語の文章でも、ストーリーによっては違う日本語になるでしょう。
全て同じ翻訳にするのであればもはやAIが作った文章を、構成すればいいだけなので、そのような翻訳家は9割以上が職を失うことになるでしょう。
リサーチ能力
翻訳家は、不明な言葉や専門用語、文化的背景などを調べる能力が求められます。効率的かつ正確に情報を見つけ出すリサーチ能力は、翻訳の質を向上させます。
もはやリサーチ無くして翻訳無しと言ってもいいでしょう。
なぜならリサーチをしなければ正確な翻訳はできないから。まさに木を見て森を見ず状態です。
同じ英文だとしても、その文章の前後には文脈があります。それを理解しなければ読み手は「なんか変じゃない?」と感じるわけです。
たまに翻訳機を使うと、変な表現だと感じることがありますよね?それはあなたは前後関係がわかってるけど、機械は分かってないから。
あなたが翻訳するときも、しっかり前後関係を理解しなければ、英文著者の意図とは異なってしまうし、読み手も意味を理解できないのです。
ですので前後関係、ストーリー全体、文脈を理解するためにリサーチが必要なのです。
文化的知識
翻訳においては、言語だけでなく、文化的背景やニュアンスも理解することが重要です。
例えば、日本人はあまり恋人に対して「愛している」と言いませんよね?しかし外国では「I love you.」を頻繁にいうのが普通です。
このとき「I love you.」を「愛してる」として毎度翻訳してたらおかしな文章になる可能性もありますよね?
このように英語圏の文化や習慣に精通していることが、より正確で自然な翻訳を可能にします。
専門知識
翻訳家は、専門分野の知識も持っていることが望ましいです。例えば、法律、医療、技術、ビジネスなどの専門分野で翻訳する場合、その分野の専門用語や概念に精通していることが必要です。
編集・校正能力
翻訳家は、自分の翻訳作業を適切に編集・校正できることが重要です。誤字脱字や文法ミス、不自然な表現を見つけ出し、修正する能力が求められます。
今後はAIが翻訳した文章を、より自然な形に編集・構成する能力が、9割以上の翻訳家の仕事になるかもしれません。
時間管理能力
翻訳業務では、締め切りを守ることが重要です。効率的に作業を進め、納期を厳守できる時間管理能力が必要です。
そのほか翻訳家に必要な英語系の資格は?
英語系の資格に関して言えば、TOEICまたは英検があれば十分でしょう。TOEFLやIELTSも高いスコアを持っているのであれば、フリーランスとして働く際も、翻訳家として就職する際も有利になるでしょう。
また翻訳関連の資格として以下のようなものがありますので、ご存じない方はチェックしてみてください。
日本翻訳連盟認定翻訳者(JTF)
日本翻訳連盟認定翻訳者(JTF)は、日本翻訳連盟が主催する翻訳能力を証明する資格試験です。この試験は、一般・専門の翻訳能力を測定するもので、英語だけでなく、他の言語ペアにも対応しています。
翻訳業界で活躍するために、JTF認定翻訳者の資格を取得することは、自分の翻訳スキルを証明し、クライアントや雇用主から信頼されるきっかけになります。また、専門分野の翻訳スキルを評価する試験もあるので、自分の得意分野をアピールすることもできます。
試験は筆記形式で行われ、文法や語彙に関する問題や、実際に翻訳を行う問題が出題されます。合格すれば、日本翻訳連盟認定翻訳者としての称号を得ることができ、翻訳家としてのキャリアを積む上で、大変有益な資格となります。
JTA
JTA公認翻訳専門職資格試験は、日本翻訳者協会(JTA)が主催する翻訳能力を証明する資格試験です。この試験では、専門的な分野に焦点を当てた翻訳スキルが測定されます。英語をはじめとするさまざまな言語ペアに対応しています。
専門分野で翻訳家として活躍するために、JTA公認翻訳専門職資格を取得することは、翻訳スキルを証明し、クライアントや雇用主から信頼されるきっかけになります。さらに、専門的な知識と技術を持つ翻訳家としての評価を高めることができます。
試験は筆記形式で行われ、専門分野に関する文書の翻訳を中心とした問題が出題されます。合格すれば、JTA公認翻訳専門職としての称号を得ることができ、翻訳家としてのキャリアを築く上で、非常に有益な資格となります。専門分野での翻訳スキルを高めたい方には、この試験がおすすめです。
翻訳実務検定「TQE®」
翻訳実務検定「TQE®」は、翻訳スクールのサン・フレアアカデミーが主催する、翻訳能力を証明する資格試験です。TQE®は、翻訳実務の現場で求められるスキルを評価し、優れた翻訳家を認定する試験です。英語だけでなく、他の言語ペアにも対応しています。
翻訳業界で活躍するために、TQE®の資格を取得することは、自分の翻訳スキルを証明し、クライアントや雇用主から信頼されるきっかけになります。また、実務経験を積んでいる翻訳家にとって、さらなるスキルアップやキャリアアップの道を開くことができます。
試験は筆記形式で行われ、実際の翻訳業務で求められる技能や知識を試す問題が出題されます。合格すれば、翻訳実務検定「TQE®」の称号を得ることができ、翻訳家としてのキャリアを築く上で、大変有益な資格となります。翻訳のプロフェッショナルを目指す方には、この試験がおすすめです。
翻訳技能認定
翻訳技能認定試験は、翻訳技能を証明する資格試験で、一般社団法人日本翻訳機構(JTF)が主催しています。この試験では、ビジネスや専門分野で求められる翻訳スキルが評価されます。英語をはじめとするさまざまな言語ペアに対応しています。
翻訳業界で活躍するために、翻訳技能認定試験の資格を取得することは、自分の翻訳スキルを証明し、クライアントや雇用主から信頼されるきっかけになります。さらに、翻訳技能認定試験は、ある程度の実務経験を持つ翻訳家に向けた試験であるため、翻訳の専門性を高めることができます。
試験は筆記形式で行われ、実際の翻訳業務で求められる技能や知識を試す問題が出題されます。合格すれば、翻訳技能認定の称号を得ることができ、翻訳家としてのキャリアを築く上で、大変有益な資格となります。実務経験を持つ翻訳家や、翻訳のプロフェッショナルを目指す方には、この試験がおすすめです。
翻訳家の種類による年収の違い
翻訳家の年収は、正社員・派遣社員・アルバイト・フリーランスという雇用形態による違いがあるのに加え、
どんな翻訳をするかによっても変わります。次の3つが翻訳の主な3つの種類です。
文藝翻訳:小説など
実務翻訳:専門書など
映像翻訳:映画の字幕や吹替翻訳
これらに関しても一概に年収を正確な金額で示すことは難しいです。文藝翻訳の場合、有名な方であれば高額な報酬を得ていて、それのイメージが強いため高年収だと思われがちですが、
実際には多くの方は、あまり売れない小説の翻訳をしていたりするので、平均で見ると報酬は低かったりします。
以下それぞれの年収について詳しく解説していきます。
文藝翻訳
文藝翻訳家の年収について
450万円~800万円
一番高い報酬を狙えるが、平均は低い
文学翻訳者の年収は一般的に、他の翻訳分野に比べてやや低めとされています。
これは、文学翻訳が競争率が高く、仕事量が限られていることが影響しています。文学翻訳者の年収は、数十万円から数千万円まで幅広く、成功した翻訳者や一部の高額な契約を持つ者はさらに高い年収を得ています。
翻訳の中でも最も華がある仕事ですから、高年収なイメージがありますが、高い年収を得られるのは一部の方だけで、実際には低年収の方の方が多い状況です。
文藝翻訳家の2つの報酬形態
文芸翻訳には、印税を受け取る「印税方式」と、翻訳した原稿を出版社が買い取る「買い取り方式」の、2種類の報酬形態があります。
印税とは次のことです。
「本の定価」×「印刷部数」×「印税率」=印税
印税率は4〜8%が相場だと言われています。
つまり本が2000円で、10万部売れたとしたら印税は次のようになります。
2,000円×100,000部×8%=1,600万円
実際には2000円の定価の本はあまりないですし、10万部売れるというのは珍しいので、これほどの収入を1つの仕事で得るのは難しいかもしれませんが、
ヒット作の翻訳ができれば、高収入を狙えるのは確かです。
実際世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの邦訳を手掛けた翻訳家、松岡祐子さんは東京国税局の税務調査を受け、平成16年までの3年間に約35億円の申告漏れを指摘されています。
英文小説などが好きな方に文藝翻訳は人気です。
文藝翻訳とは?
文学翻訳(文藝翻訳)とは、主に小説、詩、戯曲、エッセイなどの文学作品を、ある言語から別の言語に翻訳することです。文学翻訳の目的は、言語の壁を越えて、作品の美しさ、意味、文化的背景を伝えることです。
文学翻訳において重要な点は以下の通りです。
- 言語の翻訳スキル:
翻訳者は、原文の言語と翻訳先の言語の両方に精通している必要があります。 - 忠実性と適応性のバランス:
文学翻訳では、原文の意味とニュアンスをできるだけ正確に伝えることが重要ですが、同時に翻訳先の言語と文化に適した表現方法を見つけることも重要です。 - 文化的な理解:
文学作品は、その土地の文化や歴史に根ざしていることが多いため、翻訳者は両言語の文化的背景を理解する必要があります。 - 文体や声調の維持:
翻訳者は、原文の文体や声調をできるだけ維持しながら、翻訳先の言語で自然な表現を見つけることが求められます。
文学翻訳は、単なる言語の変換だけでなく、文化や感性の橋渡しを行う重要な役割を果たしています。翻訳者は、世界中の人々が異なる文化や言語の文学作品を楽しめるように、その才能と知識を駆使して翻訳作業を行っています。
実務翻訳
実務翻訳家の年収について
300万円~500万円程度
莫大な報酬は狙えないが、安定的な収入
実務翻訳者の年収は、専門分野や経験、働く環境によって大きく変わります。法律や医学、技術などの専門分野では、需要が高く専門知識が必要なため、年収が比較的高い傾向にあります。一般的に、実務翻訳者の年収は数百万円から1000数百万円の範囲で、経験や評価が高い翻訳者はさらに高い年収を得ることがあります。
一般社団法人日本翻訳連盟が公表している翻訳料金(一単語当たり)は以下のとおりです。
翻訳の分野 | 英日翻訳(英文⇒和訳)の場合 |
コンピューターマニュアル | 28円 |
一般科学・工業技術 | 28円 |
金融 | 30円 |
経営管理・財務・契約書 | 30円 |
医学・医療・薬学 | 35円 |
特許明細書 | 26円 |
金融、経営管理、医学などの分野の翻訳料金が高い傾向にあることがわかります。医療や金融に関しては、英語スキルがあるだけでは翻訳できません。
その分野に精通していることで、より正確な翻訳ができます。
それらの分野の知識を身につけるのは、相当な時間と努力を要するので、報酬が高い傾向にあるのです。
実務翻訳家とは
実務翻訳とは、ビジネスや専門分野に関連する文章をある言語から別の言語に翻訳することです。実務翻訳は、企業、政府機関、国際機関、研究機関などで広く利用されており、国際取引やコミュニケーションの円滑化に貢献しています。
実務翻訳において重要な点は以下の通りです。
- 専門知識:
翻訳者は、翻訳対象となる分野に関する知識や用語に精通している必要があります。例えば、法律、医学、技術、経済、政治などの専門分野では、独自の用語や概念が存在するため、それらを正確に理解し翻訳できることが求められます。 - 言語能力:
もちろん、翻訳者は原文の言語と翻訳先の言語の両方に精通している必要があります。また、正確かつ明確な表現が重要なため、文法や語彙、構文にも注意を払う必要があります。 - 研究スキル:
翻訳者は、未知の専門用語や文化的背景を調査し、正確な翻訳を行うためのリサーチ能力が求められます。 - 時間管理:
実務翻訳では、締め切りが厳しく設定されることが多いため、翻訳者は効率的に作業を進め、時間管理を行うことが重要です。
実務翻訳は、国際ビジネスや専門分野において重要な役割を果たしています。翻訳者は、専門知識や言語能力を活かして、異なる言語や文化間でのコミュニケーションを円滑に進めることに貢献しています。
映像翻訳
映像翻訳家の年収について
450万円~600万円程度
高い報酬を狙える
映像翻訳者の年収も、経験やスキル、働く環境によって変わります。映像翻訳の仕事はプロジェクト単位で発生することが多く、安定した収入を得ることが難しい場合もあります。一般的には、映像翻訳者の年収は数百万円〜1000数百万円の範囲で、大手映画会社や放送局で働く翻訳者はさらに高い年収を得ることがあります。
映画字幕翻訳家の戸田奈津子さんが手がけた作品は1500超で、大ヒット中の『トップガン マーヴェリック』の字幕も担当してますが、
彼女のように有名翻訳家になると、2000万、3000万以上稼ぐことも可能でしょう。
映像翻訳家とは?
映像翻訳とは、映画、テレビ番組、ウェブ動画、ゲームなどの映像コンテンツにおいて、ある言語から別の言語への翻訳を行うことです。映像翻訳は主に、字幕翻訳と吹き替え翻訳の2つの形態に分けられます。
字幕翻訳:
字幕翻訳では、映像に登場する台詞やテキストを翻訳し、画面上に表示する字幕として提供します。字幕翻訳のポイントは以下の通りです。
- 短くて分かりやすい表現:
字幕は画面上の限られたスペースに表示されるため、短くて分かりやすい表現が求められます。 - タイミング:
字幕は映像の進行に合わせて表示されるため、登場人物の台詞と同期させるタイミングが重要です。 - 文化的な適応:
翻訳時には、異なる文化や言語の視聴者に理解できるように、言い回しやユーモアを適応させる必要があります。
吹き替え翻訳:
吹き替え翻訳では、映像の元の音声を別の言語に翻訳された音声に置き換えます。吹き替え翻訳のポイントは以下の通りです。
- 口の動きとの同期:
登場人物の口の動きと翻訳された音声が自然に見えるように、翻訳の際には同期が重要です。 - 演技や声のニュアンス:
吹き替え声優は、原作の演技や声のニュアンスを再現しながら、翻訳された言語で演技を行うことが求められます。 - セリフの流れ:
映像のテンポや雰囲気に合わせて、翻訳されたセリフが自然な流れで進むように注意が必要です。
映像翻訳者は、言語や文化の違いを慎重に考慮しながら、緻密な翻訳作業を行っています。その結果私たちは、異なる国や地域の視聴者が、作品の意図やストーリー、感情表現を適切に理解し、楽しむことができます。
映像翻訳においては、以下のようなスキルが求められます。
- 言語スキル: 原文の言語と翻訳先の言語の両方に精通し、文法や語彙、構文を正確に理解していることが必要です。
- 文化的知識: 映像作品はしばしば文化的な要素を含むため、翻訳者は両言語の文化的背景を理解することが重要です。これにより、言い回しやユーモア、慣用表現を適切に翻訳できます。
- 映像編集スキル: 特に字幕翻訳では、映像のタイミングやレイアウトに合わせて字幕を編集する技術が必要です。
- クリエイティブなセンス: 映像翻訳では、直訳だけでなく、視聴者にとって自然で魅力的な表現を見つけることが重要です。そのため、翻訳者は独自のクリエイティブなセンスを発揮することが求められます。
映像翻訳は、映画、テレビ、ウェブ動画、ゲームなど、多くの映像コンテンツが国際的に共有される現代社会において、ますます重要性が増しています。翻訳者は、高い言語スキルと文化的知識、編集技術、クリエイティブなセンスを活かして、世界中の視聴者が楽しめる映像作品を提供しています。
翻訳家になる方法
翻訳家になる方法は大きく分けて以下の4つになります。それぞれ順番に説明していきます。
- 大学で英語を学ぶ
- 翻訳学校に入る
- 翻訳会社に勤務
- 独学
大学で英語を学ぶ
大学に入学することは翻訳家になるための必須要素ではありませんが、今学生の方であればとりあえず大学に行くことをおすすめします。(社会人の方は大学に行く必要はありません)
理由としては、やはり大学に通った方が将来翻訳家として仕事するときに、プロフィールに箔がつきますし、どこかの企業で翻訳の仕事をする場合でも採用される可能性が上がります。
また大学に通うことで、英語に関する深い知識を身につけることができるでしょう。基礎から応用までの英語スキルを網羅的に学ぶことができます。大学のカリキュラムは通常、文法、語彙、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングなど、あらゆるスキルを網羅しています。
周りの学生も英語を学んでいるので、英語に関する知識をシェアすることができます。仲間と一緒に学ぶことはモチベーションアップにもつながるでしょう。
そのほかにも大学では交換留学制度などもあり、比較的安価に海外留学をするチャンスに恵まれているため、翻訳家に必要な英語力をより効率的に身につけることができるはずです。
翻訳学校に入る
社会人の方の場合は、翻訳学校に入るのも有益な選択肢の1つです。
翻訳学校は、翻訳技術や業界に特化したカリキュラムが提供されるため、翻訳家としての専門的なスキルを効率的に身につけることができます。以下に、翻訳学校で学ぶメリットとデメリットを挙げます。
【メリット】
- 専門的なカリキュラム: 翻訳学校は、翻訳技術や翻訳業界に特化したカリキュラムを提供しており、翻訳家に必要なスキルを短期間で学ぶことができます。
- 経験豊富な講師陣: 翻訳学校の講師陣は、翻訳業界での実務経験が豊富であり、その知識や経験を生かして指導してくれます。これにより、翻訳家としての実践的なスキルを身につけることができます。
- ネットワーキングの機会: 翻訳学校では、同じ目標を持った仲間や、翻訳業界で働くプロフェッショナルと出会うことができます。これにより、貴重な人脈を築くことができ、将来の仕事獲得に役立つことがあります。
- 資格取得のサポート: 翻訳資格の取得を目指す場合、翻訳学校では資格試験対策のサポートが提供されることがあります。これにより、資格試験に合格する確率が高まります。
【デメリット】
- 費用: 翻訳学校の授業料は、一般的に高額であることが多いです。しかし、翻訳家としての収入が安定してくれば、投資に見合うだけの価値があると考えられます。
- 限定的な分野: 翻訳学校では、主に一般的な翻訳分野がカバーされることが多く、特定の分野に特化した翻訳技術を学びたい場合は、他の学習方法を検討
翻訳学校の場合には、キャリアサポートをしてくれる場合もあるので、それは本格化になりたい方にとっては大きなメリットでしょう。
しかしながら必ずしも翻訳の仕事をできる保証はありませんので、その場合、翻訳学校に通っていたことを履歴書に書いても、違う業種では評価されない可能性があり、それはデメリットです。
つぶしが効く選択肢は大学で英語を学ぶことでしょう。
翻訳会社で仕事を始めてしまう
翻訳家になる方法としていろいろな道がありますが、すでに英語力があるのなら翻訳会社に応募してしまうのも手です。
翻訳会社は、通常、応募者が翻訳の基本的なスキルや知識を持っていることを期待しています。
あなたがもしTOEIC900点以上持っているなど英語力が高い場合や、以下の場合には採用される可能性があります。
- 研修制度がある場合: 一部の翻訳会社では、新入社員向けの研修制度が設けられており、翻訳の基本的なスキルや知識を習得できる機会が提供されます。このような場合、英語力が高ければ、翻訳の知識がなくても採用される可能性があります。
- 他の専門知識が評価される場合: 翻訳業務では、専門分野の知識が重要となることが多いです。例えば、法律や医学、ITなどの分野での専門知識があれば、翻訳の知識がなくても、その専門知識が評価され採用されることがあります。
- 企業の状況による: 企業が人材不足であったり、独自の研修プログラムに自信がある場合などは、翻訳の知識がなくても英語力があれば採用されることがあります。
ただし、翻訳会社に就職するためには、できるだけ翻訳の基本的なスキルや知識を身につけることが望ましいです。翻訳の勉強をして資格を取得することや、翻訳の実務経験を積むことが、就職活動において有利に働くことが多いです。
仮に運よく、翻訳経験なく採用されたら、そこで仕事をしながら小さなところから翻訳について学んでいけばいいのです。
独学
もちろん、独学で英語の翻訳家になることは可能ですが、それには自己学習の意欲と努力が必要です。まず、英語と母国語の両方の言語スキルを向上させることが重要であり、読書やリスニング、会話練習などを通じて、英語力を磨くことが求められます。
次に、翻訳に関する書籍やオンラインリソースを利用して、翻訳技術を習得しましょう。翻訳の基本的な原則やテクニックを学び、文化的な違いや文章スタイルの理解を深めることが大切です。
翻訳家として成功するためには、専門分野を持つことも重要です。自分の興味や経験に基づいて、専門分野を選び、その分野に関する知識を深めることで、独自の強みを持つ翻訳家となることができます。
また、独学でスキルを習得した後は、実践的な練習を行いましょう。自分で翻訳を行い、できるだけ多くの練習を積むことが重要です。翻訳した文章を他の翻訳家やネイティブスピーカーに見てもらい、フィードバックを得ることも有益です。
最後に、翻訳資格試験に挑戦し、資格を取得することを検討してみてください。資格があることで、自分の翻訳スキルを証明することができ、クライアントや雇用主に信頼されることが容易になります。
まとめ:翻訳家は英語力があって当然の世界
この記事では翻訳家になるために必要な英語力とTOEICスコアについてお話しさせていただきました。
翻訳と聞くと、英語力を上げることがとにかく重要というイメージがありますが、実はその他の能力も重要です。
と言いますのも、近年ではAIによる翻訳の精度が本当によくなっています。下手に人間が翻訳するよりも、DeepLやChatGPTを使った方がいい結果になるでしょう。
私自身TOEIC900点以上持っていますが、正直自分で訳すよりAIの方が何倍も正確です。
こうした時代にどんな能力が求められるか?
それは日本語力です。もっと具体的に言えば、元の英文の意味をしっかり汲み取り、それを正確に表すための日本語力です。
昔から日本語力の大切さは言われていますが、AIの登場によりその重要性がさらに高まっているように思います。
皆さんも英語学習はもちろんのこと、日本語の能力も高めていっていただければと思います。
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