この記事では「通訳になるには?」について書いていきます。
英語を勉強している人なら誰しも一度は通訳者という仕事に憧れると思います。
テレビでハリウッドスターが来日しインタビューを受けている際に、後ろで通訳をしている女性を見て、カッコいいなと思ったことありますよね。
通訳になることも夢見て、海外留学をする人も少なくないでしょう。
しかし実際どうやったら通訳になれるのか、あまり情報が出回っていません。
この記事では通訳になりたいと考えているために、「通訳になる方法」はもちろんのこと「通訳の具体的な仕事内容」や「収入」についてもお話しします。
ぜひ最後までご覧ください。
通訳とは、異なる言語間でコミュニケーションを円滑に進めるために、一方の言語で伝えられた言葉や文章をもう一方の言語に瞬時に翻訳する専門家のことを指します。
日本人にとっては、英語を日本語にする、または日本語を英語にする通訳が馴染みが深いですね。
野球の大谷翔平選手の通訳を務めている水原一平さん、トムクルーズ来日の際にいつも通訳をする戸田奈津子さんなどが日本でも知名度が高い通訳者ですね。
通訳者は、国際会議、ビジネス交渉、観光案内、外国人医療支援、裁判所での証言など、多岐にわたる場面で活躍します。
通訳は、主に以下の2つの方法に分けられます。
通訳者には、高い言語スキルだけでなく、リスニング力、メモリ力、コミュニケーション力、そして異文化への理解が不可欠です。
というのも今は、ただ通訳するだけであれば、AIでできてしまう時代がすぐそこまで迫っています。ChatGPTを使えばかなりの精度の通訳ができるでしょう。
しかし話している人の意図をしっかり汲み取り、聞き手にわかりやすい形で伝えるにはやはり人間が必要で、人間に求められているのはそれを再現する能力。
それを実現するのに必要なのが、高い言語スキルはもちろんのことメモリ力、コミュニケーション力、そして異文化への理解だったりするのです。
つまり短期記憶を保持して、話している人の内容の前後関係をしっかり意識しながら、その人の文化的背景も汲み取りつつ、聞き手にわかりやすい形で伝える能力です。
また、専門知識を持っている通訳者は、特定の分野での需要が高まることがあります。例えば、法律、医療、技術、スポーツなどの専門分野で活躍する通訳者がいます。
通訳は、方法や対象分野によっていくつかの種類に分類されます。以下に主な通訳の種類と分野について説明します。
通訳の分野は、専門知識や技術が必要なものから、一般的な知識で対応できるものまで幅広く存在します。主な分野には以下のようなものがあります。
これらの通訳の種類と分野に対応するためには、通訳者は言語スキルだけでなく、専門知識や文化的な理解も必要とされます。また、各分野の特性やニーズに応じて、適切な通訳スタイルや技術を身につけることが求められます。次の節では、通訳に必要なスキルについて詳しく説明します。
通訳になるためには大学や大学院、短大や専門学校を卒業し、
その後、通訳者養成学校や研修プログラムを受け、その後通訳派遣会社の審査を通り、そして通訳者になるという流れが一般的です。
「独学じゃダメなの?」と感じる方もいるかもしれませんが、
通訳で求められる能力は英語力だけではありません。逐次通訳では、発言者の言葉を一度に記憶し、適切なタイミングで翻訳して伝えるなど、通訳特有の技術が必要です。
これらはただ英語力を上げれば自然と身につくものではないので、独学だと難しいでしょう。
また通訳としてキャリアを始めるには、基本的に通訳派遣会社に登録される必要があります。
そこから仕事をもらい、実績と実力をつけていくのが通訳のキャリアとして一般的でしょう。
もちろん将来的にはフリーランスの通訳として、直接仕事をもらえる日も来るかもしれませんが、実績もない状態でいきなり仕事を受けるのは難しいです。
また求人で通訳の募集がされていることがありますが、その場合も「通訳養成学校に通っていた」「通訳派遣会社に所属し、実践経験がある」などがないと、募集する側もなかなか採用したいと思わないです。
ですから通訳になるためには以下の流れが一般的となります。
「通訳者養成学校」→「通訳派遣会社」→「プロの通訳」
ちなみに大谷翔平選手の通訳である水原一平さんは、カリフォルニア大学リバーサイド校に通い、2007年の大学卒業後に通訳のキャリアをスタートさせました。
2010年にボストン・レッドソックスなどで活躍した岡島秀樹さんの通訳を務めています。
3年間のラグがあるのですが、その間はどこかで通訳を学んでいたか、現場で経験を積むなどしていたのだと推測します。
しかし彼は6歳からアメリカで育っているので、日本で生まれ育った日本人が、どこかで英語を独学で身につけて、いきなり現場で経験を積むというのは難しいかと思います。
ですのでまずは前述の流れで通訳のキャリアをスタートするのが一般的でしょう。
トムクルーズの通訳者を務めたり、『タイタニック』や『ターミネーター』など超大作の翻訳を務めた、日本でも屈指の著名翻訳家・通訳者の戸田 奈津子さん。
彼女は1958年津田塾大学卒業後に生命保険会社の秘書の仕事に着くが約1年半で退社となります。
そして映画の字幕翻訳の第一人者であった清水俊二に手紙を書き、『鉄腕アトム』などの日本のテレビ番組を輸出用に英訳する仕事を紹介してもらうなどし、字幕では無いもののフリーランスとして翻訳を続け、洋画配給会社とも仕事のつながりができます。
転機となったのは1976年(昭和51年)、『地獄の黙示録』を撮影中のフランシス・フォード・コッポラ監督の来日時の通訳およびガイドを務めたことです。
なんと大学を卒業してから20年も経ってのことです。
その間にも様々な仕事を通訳者、翻訳者として行なっていたでしょうが、彼女は次のように語っています。
「自分が人の心のなかに入って、いろいろなドラマをつくるお手伝いをできるところです。もっとも、そのキャリアを形成するまでに、約20年間、踏ん張る形にはなりましたけど。」
もちろん今と昔では違うでしょうが、独学フリーランスとして通訳の仕事をするのは簡単とは言えないでしょう。
まずTOEICで言うと、通訳者になりたいのであればTOEIC900点は最低でも必要だと考えてください。
これはあくまで最低ラインであり、TOEIC900点あっても必ず通訳者になれるわけではありません。
ではなぜ900点は最低でも必要なのか?
理由は、それ以下の点数だと通訳に必要な、語彙や文法の知識、リスニング力が欠けているからです。
そしてTOEICでその程度のスコアであるということは、スピーキングやライティングの能力はさらに低いということですから、通訳をするのが事実上不可能だからです。
もちろん通訳の会社にフリーランスとして登録できる基準として、TOEIC900点などが設けられているかもしれませんが、それはあくまで足切りラインのようなものですから、通訳になるにはそれ以上必要だと考えてください。
また実際にTOEIC900点台を取ってみるとわかりますが、それでも英語力は完璧には程遠いことがわかります。
リスニングで聞き取れないところも普通にありますし、リーディングでもよく意味が理解できない文章があるのです。
これは通訳をする上で致命的です。
900点でもこれですから、プロの通訳として仕事をするならもっと上の英語力が必要ということになります。
英検に関しては1級というのが通訳になるための一つの基準になるでしょう。
しかしこれに関してもTOEIC同様、1級あれば通訳になれるわけではなく、最低これくらい必要ということです。
通訳では英検1級以上に高い英語力が求められるので、これくらい取れないとスタートラインにすら立てないと考えてください。
スピーキング力は、通訳者にとって非常に重要な能力です。通訳者は、発言者の言葉を瞬時に翻訳し、聞き手に伝える役割を担っているため、以下の点でスピーキング力が求められます。
これらのスピーキング力は、通訳者が発言者と聞き手のコミュニケーションを円滑に進めるために不可欠です。練習や経験を積むことで、スピーキング力を向上させることができます。
通訳者は、発言者の言葉を正確に理解する必要があります。そのため、高度なリスニング力が必要です。特に、アクセントやイディオムに対応できる柔軟性が求められます。
以下に、通訳者に求められるリスニング力の主な要素を挙げます。
通訳者に求められるリスニング力は、練習と経験によって向上します。さまざまな言語環境に触れることで、高いリスニング力を身につけることができます。
通訳者は、瞬間的に情報を記憶し、翻訳しながら伝える能力が求められます。特に逐次通訳では、発言者の言葉を一度に記憶し、適切なタイミングで翻訳して伝えることが重要です。
以下の点でメモリ力が求められます。
通訳者のメモリ力は、練習や経験を通じて向上します。メモリ力を鍛えるトレーニングや、通訳の現場での実践経験を重ねることで、高いメモリ力を身につけることができます。
通訳者は、話者と聞き手のコミュニケーションを円滑に進める役割を担います。そのため、適切な言葉や表現を使って、両者の意図を正確に伝える能力が求められます。
通訳者に求められるコミュニケーション力の主な要素は以下の通りです。
通訳者のコミュニケーション力は、経験や練習を通じて向上します。多様な状況でのコミュニケーション経験を積むことで、より効果的なコミュニケーション力を身につけることができます。
通訳者は、異なる文化背景を持つ人々のコミュニケーションをサポートするため、異文化間の理解が重要です。文化的な違いや慣習に配慮しながら、適切な翻訳を行うことが求められます。
特定の分野での通訳を行う場合、専門用語や業界知識が必要です。法律、医療、技術、ビジネスなどの分野での通訳では、専門的な知識を持っていることが求められます。
通訳者は、高い集中力と瞬発力が求められる仕事です。プレッシャーの下でも冷静に対応できるストレス耐性が必要です。
通訳者は、話者と聞き手のコミュニケーションをリアルタイムでサポートするため、適切なタイミングで翻訳を行い、情報を伝える能力が求められます。
日本には通訳関連の資格がいくつかあります。
それらは通訳になるために必須の資格ではありませんが、自分の英語力や通訳者としての能力を証明するための使えるものです。
通訳養成学校を卒業していたり、TOEFLやIELTSでハイスコアを持っている場合は、それ自体が能力の高さの証明になるので、通訳関連の資格の取得必要性はないですが、参考までにご覧ください。
ビジネス通訳検定(TOBIS: Test of Business Interpreting Skills)とは、日本国内で実施されるビジネス分野に特化した通訳技能試験です。この試験は、英語を使用するビジネス現場での通訳能力を測ることを目的としており、ビジネス通訳に必要なスキルや知識が問われます。
TOBIS試験は主に以下のような内容で構成されています。
TOBIS試験に合格することで、ビジネス通訳のプロフェッショナルとしてのスキルを証明することができます。企業や組織での就職や昇進の際に、通訳能力をアピールするために有益な資格となります。
「外国語通訳検定試験 TOIFL」は一般社団法人外国語通訳検定協会が主催する試験です。
通訳現場で必要な能力と知識力、通訳技法を測る検定。記述式の筆記試験に加え、英語―日本語または中国語―日本語を対象に通訳シーンを設定したテーマの実技試験(通訳パフォーマンス)を実施し、通訳に用いる両言語の通訳能力・運用能力を測定する試験です。
公開実施は年2回(6月、12月)の予定です。
受講料は「エントリー/セミプロフェッショナル:11,000円(税込)」「プロフェッショナル:15,400円(税込)」となっています。
一般社団法人 通訳品質評議会では、これからの日本の社会インフラとして必要なコミュニティ通訳の育成と地位向上に寄与するため、一般通訳検定(Test of Universal Interpreting:TOUI (トーイ))を実施しています。
検定内容は、筆記試験と実技試験(逐次通訳)の2つから成ります。受験者の皆さんは試験を「上級」、「中級」、「初級」からそれぞれ選んで受験いただき、試験結果に応じて1級~10級を判定します。
(こちらは通訳の資格というより観光ガイドの資格になります。)
全国通訳案内士は、通訳案内士法において「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を⽤いて、旅⾏に関する案内をすることをいう)を行うことを業とする」とされています。国家試験に合格したのち、「全国通訳案内⼠」として都道府県に登録をします。
2022年4月1日現在の登録者数は26,723人に達しています。全国通訳案内士試験の外国語の種類は、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語及びタイ語となっています。試験は、年齢、性別、学歴、国籍などに関係なく受験が可能で、2022年度には571人が合格しました。
全国通訳案内⼠は、単に語学⼒が優秀であるだけでなく、日本全国の歴史・地理・文化等に関する幅広い知識・教養を持って⽇本を紹介するという重要な役割を負っています。外国⼈旅⾏者に⽇本の良い印象を持って帰ってもらうことは、正しい⽇本理解の第⼀歩となり、”⺠間外交官”とも⾔える国際親善の⼀翼を担うやりがいのある仕事です。
通訳者は憧れの職業で、なりたいと思う人は多いですが、不安なのは収入面ですよね。
「稼げるのはほんの一握りの有名な人だけで、多くの通訳者は稼げないのではないか?」そんな声も聞こえてきます。
確かにそれは一理あるのですが、派遣社員やアルバイトでは高い傾向にあります。以下ご覧ください。(求人ボックスより引用)
正社員:365万円
派遣社員:平均時給1,544円
アルバイト・パート:平均時給1,338円
それぞれこのような給料になっている理由を説明します。
求人ボックスのデータに関しては、おそらく正しいデータが反映されていません。
正社員の通訳の場合、400万円~800万円程度が一般的です。
正社員として働く通訳者は、安定した給与を受け取ることができます。年収は経験やスキル、専門分野によって異なりますが、このレンジで治るのが一般的でしょう。
また、正社員として働く通訳者は、福利厚生や昇給・昇格の機会も享受できるので、フリーランスや派遣、アルバイトで働くよりもメリットがあります。
役職がついたり、重要な仕事を任せられるようになれば、1000万円を超える年収をもらえることもあるでしょう。
派遣社員として働く通訳者は、派遣会社を通じて企業や組織で働く形態です。
給与は、時間単位や日給、月給などで支払われ、経験やスキルに応じて変動します。
おおよそ時給2,000円~4,000円、または月給25万円~45万円程度が一般的です。
派遣社員は、福利厚生が正社員に比べて劣る場合がありますが、働く場所や期間を選ぶ柔軟性があります。また時給は日本の平均から見てもかなり高いです。
通訳者の多くの方は、通訳派遣会社に登録して仕事をもらうことが多いので、派遣としての仕事は多いでしょう。
アルバイトやパートで働く通訳者は、短期間や不定期で働くことが一般的です。
給与は主に時間単位で支払われ、経験やスキルに応じて変動します。おおよそ時給1,500円~3,500円程度が一般的です。
アルバイト・パートは、正社員や派遣社員に比べて福利厚生が少ないか、ないことが多いですが、働く時間や期間に柔軟性があります。
フリーランスの通訳者は、独立して働く形態で、企業や組織と直接契約するか、またはエージェントを通じて仕事を受注します。フリーランス通訳者の収入は、経験やスキル、専門分野、仕事の量や内容、交渉力などによって大きく変動します。
通常、フリーランス通訳者の報酬は、時間単位(時給)、半日単位(半日給)、1日単位(日給)などで支払われます。一般的な報酬の範囲は以下の通りです。
ただし、これらの金額は目安であり、通訳者の専門性や実績、業界や地域、依頼内容によって大きく異なることがあります。また、フリーランス通訳者は、自分で仕事を見つける努力が必要であり、仕事の量や安定性は一定ではありません。
フリーランス通訳者は、自営業者として扱われるため、税金や社会保険の手続きも自己責任で行わなければなりません。また、福利厚生がないため、自分で将来のための貯金や保険などを計画する必要があります。しかし、自分のスケジュールや働き方を選ぶ自由があり、様々な分野や業界での経験を積むことができます。
この記事では「通訳になるには?」についてお話しさせていただきました。
通訳にも様々な雇用形態があるわけですが、やはり一番かっこいいのはフリーランスですよね。
大谷翔平選手の通訳である水原一平さんや、トムクルーズの通訳などをしている戸田奈津子さんを見てると、本当にかっこいいと思います。
英語力という武器を持って、独立して活躍しているというのは、やはり会社で働くよりも自由ですし、やりがいを感じられるのではないでしょうか?
また報酬も他の雇用形態と比べると高いです。
それはフリーランスの場合、あなたに頼みたくて依頼が来るので、必然的に報酬も上がります。
考え方は人それぞれですが、皆さんもフリーランスの通訳者を目指してみてはいかがでしょうか?
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