この記事では「翻訳家の年収、給料、時給」について具体的な金額とともにリアルなお話をしていきます。
英語が好きで学んでいる方なら、その「好き」と「得意」を活かせる翻訳家になりたいというのは自然流れだと思います。
しかし気になるのは「翻訳家で稼げるの?」という部分ですよね。
好きなことを仕事にできるのはいいけど、稼げないのならキャリア形成にも影響が出てしまう可能性もありますし、不安ですよね。
結論から言うと、翻訳家の仕事は決して不安定ではありませんし、やり方によっては年収1000万を超えるほど大きく稼ぐことができます。
この記事では「翻訳家の年収、給料、時給」の話はもちろんのこと、「どのジャンルの翻訳が一番稼げるのか?」「フリーランスは稼げるのか?」「印税はどれほどもらえるのか?」についても解説してます。
ぜひ最後までご覧ください。
日本における翻訳者の年収も、個人のスキルや経験、専門分野、働く環境(フリーランスか企業員か)、地域などによって大きく変わりますが、おおよその傾向について説明します。
200万円~500万円
平均年収471万円
平均時給1,695円
平均時給1,372円
求人ボックスより
翻訳家の年収は、正社員・派遣社員・アルバイト・フリーランスという雇用形態による違いがあるのに加え、
どんな翻訳をするかによっても変わります。次の3つが翻訳の主な3つの種類です。
これらに関しても一概に年収を正確な金額で示すことは難しいです。文藝翻訳の場合、有名な方であれば高額な報酬を得ていて、それのイメージが強いため高年収だと思われがちですが、
実際には多くの方は、あまり売れない小説の翻訳をしていたりするので、平均で見ると報酬は低かったりします。
以下それぞれの年収について詳しく解説していきます。
450万円~800万円
文学翻訳者の年収は一般的に、他の翻訳分野に比べてやや低めとされています。
これは、文学翻訳が競争率が高く、仕事量が限られていることが影響しています。文学翻訳者の年収は、数十万円から数千万円まで幅広く、成功した翻訳者や一部の高額な契約を持つ者はさらに高い年収を得ています。
翻訳の中でも最も華がある仕事ですから、高年収なイメージがありますが、高い年収を得られるのは一部の方だけで、実際には低年収の方の方が多い状況です。
文芸翻訳には、印税を受け取る「印税方式」と、翻訳した原稿を出版社が買い取る「買い取り方式」の、2種類の報酬形態があります。
印税とは次のことです。
「本の定価」×「印刷部数」×「印税率」=印税
印税率は4〜8%が相場だと言われています。
つまり本が2000円で、10万部売れたとしたら印税は次のようになります。
2,000円×100,000部×8%=1,600万円
実際には2000円の定価の本はあまりないですし、10万部売れるというのは珍しいので、これほどの収入を1つの仕事で得るのは難しいかもしれませんが、
ヒット作の翻訳ができれば、高収入を狙えるのは確かです。
実際世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの邦訳を手掛けた翻訳家、松岡祐子さんは東京国税局の税務調査を受け、平成16年までの3年間に約35億円の申告漏れを指摘されています。
英文小説などが好きな方に文藝翻訳は人気です。
文学翻訳(文藝翻訳)とは、主に小説、詩、戯曲、エッセイなどの文学作品を、ある言語から別の言語に翻訳することです。文学翻訳の目的は、言語の壁を越えて、作品の美しさ、意味、文化的背景を伝えることです。
文学翻訳において重要な点は以下の通りです。
文学翻訳は、単なる言語の変換だけでなく、文化や感性の橋渡しを行う重要な役割を果たしています。翻訳者は、世界中の人々が異なる文化や言語の文学作品を楽しめるように、その才能と知識を駆使して翻訳作業を行っています。
300万円~500万円程度
莫大な報酬は狙えないが、安定的な収入
実務翻訳者の年収は、専門分野や経験、働く環境によって大きく変わります。法律や医学、技術などの専門分野では、需要が高く専門知識が必要なため、年収が比較的高い傾向にあります。一般的に、実務翻訳者の年収は数百万円から1000数百万円の範囲で、経験や評価が高い翻訳者はさらに高い年収を得ることがあります。
一般社団法人日本翻訳連盟が公表している翻訳料金(一単語当たり)は以下のとおりです。
翻訳の分野 | 英日翻訳(英文⇒和訳)の場合 |
コンピューターマニュアル | 28円 |
一般科学・工業技術 | 28円 |
金融 | 30円 |
経営管理・財務・契約書 | 30円 |
医学・医療・薬学 | 35円 |
特許明細書 | 26円 |
金融、経営管理、医学などの分野の翻訳料金が高い傾向にあることがわかります。医療や金融に関しては、英語スキルがあるだけでは翻訳できません。
その分野に精通していることで、より正確な翻訳ができます。
それらの分野の知識を身につけるのは、相当な時間と努力を要するので、報酬が高い傾向にあるのです。
実務翻訳とは、ビジネスや専門分野に関連する文章をある言語から別の言語に翻訳することです。実務翻訳は、企業、政府機関、国際機関、研究機関などで広く利用されており、国際取引やコミュニケーションの円滑化に貢献しています。
実務翻訳において重要な点は以下の通りです。
実務翻訳は、国際ビジネスや専門分野において重要な役割を果たしています。翻訳者は、専門知識や言語能力を活かして、異なる言語や文化間でのコミュニケーションを円滑に進めることに貢献しています。
450万円~600万円程度
映像翻訳者の年収も、経験やスキル、働く環境によって変わります。映像翻訳の仕事はプロジェクト単位で発生することが多く、安定した収入を得ることが難しい場合もあります。一般的には、映像翻訳者の年収は数百万円〜1000数百万円の範囲で、大手映画会社や放送局で働く翻訳者はさらに高い年収を得ることがあります。
映画字幕翻訳家の戸田奈津子さんが手がけた作品は1500超で、大ヒット中の『トップガン マーヴェリック』の字幕も担当してますが、
彼女のように有名翻訳家になると、2000万、3000万以上稼ぐことも可能でしょう。
映像翻訳とは、映画、テレビ番組、ウェブ動画、ゲームなどの映像コンテンツにおいて、ある言語から別の言語への翻訳を行うことです。映像翻訳は主に、字幕翻訳と吹き替え翻訳の2つの形態に分けられます。
字幕翻訳では、映像に登場する台詞やテキストを翻訳し、画面上に表示する字幕として提供します。字幕翻訳のポイントは以下の通りです。
吹き替え翻訳では、映像の元の音声を別の言語に翻訳された音声に置き換えます。吹き替え翻訳のポイントは以下の通りです。
映像翻訳者は、言語や文化の違いを慎重に考慮しながら、緻密な翻訳作業を行っています。その結果私たちは、異なる国や地域の視聴者が、作品の意図やストーリー、感情表現を適切に理解し、楽しむことができます。
映像翻訳においては、以下のようなスキルが求められます。
映像翻訳は、映画、テレビ、ウェブ動画、ゲームなど、多くの映像コンテンツが国際的に共有される現代社会において、ますます重要性が増しています。翻訳者は、高い言語スキルと文化的知識、編集技術、クリエイティブなセンスを活かして、世界中の視聴者が楽しめる映像作品を提供しています。
翻訳家の年収や給料は「文藝翻訳」「実務翻訳」「映像翻訳」によって変わることがお分かりいただけたと思います。
さらに雇用形態によっても変わります。記事の最初に次のように示しました。
フリーランス:200万円~500万円
正社員:平均年収471万円
派遣社員:平均時給1,695円
アルバイト・パート:平均時給1,372円
それぞれについてより詳しく解説させていただきます。
200万円~500万円
一番大きく稼ぐことができるのはフリーランスでしょう。多くの著名翻訳家はどこかの企業に属しているのではなく、フリーランスまたは自分で法人を設立しています。
この場合、報酬は自分で交渉することができますし、その報酬を100%自分が取ることができるので、最も稼ぐことができます。それこそ年収1000万円を超えることは可能でしょう。
実際有名な翻訳家の戸田奈津子さんは、洋画配給会社の翻訳業務の依頼を、フリーランスとして少しずつこなしていたそうです。
そこから徐々に人脈を作っていき、今のポジションを得れたと。
しかし彼女は転機となる『地獄の黙示録』という映画に出会うまで、やく20年間も映画字幕翻訳を手掛ける機会を待っていたそうです。
このようにフリーランスの翻訳家として稼ぐのは簡単ではありませんが、実績と信頼を積み重ねていくことで、大きな仕事がやってきて、年収も上げることができます。
平均年収は200万円~500万円と、平均的な年収におさまりますが、実力をつけていくことで大きく伸ばせるでしょう。
平均年収471万円
正社員の場合には、年収の上限は決まっていて、一般社員と同じ待遇になるでしょう。年収のレンジで言えば、300万円から600万円程度になります。
専門的な知識などが求められるので、一般的なジムに比べると年収は高くなる傾向にありますが、それでも営業職のように自分で売上を作れるわけではないので、あくまで所属している企業の年収がその人の年収になります。
しかし業の翻訳家として働く場合、一定の収入が保証されることが多く、フリーランス翻訳家と比較して安定した収入を得られることが一般的です。しかし、フリーランス翻訳家は、仕事量や報酬率によっては企業の翻訳家よりも高い収入を得ることが可能です。
翻訳家としてのキャリアを考慮する際には、企業で働くこととフリーランスで働くことのメリット・デメリットを比較検討し、自分に適した働き方を選択することが重要です。
平均時給1,695円
派遣社員として翻訳業務に従事する場合、時給は業務内容、業界、地域、経験やスキル、専門分野などによって異なります。一般的に、日本で派遣社員の翻訳家として働く場合の時給は、1,500円から3,000円程度の範囲が多いです。
ただし、これはあくまで一般的な範囲であり、専門知識や経験が豊富な翻訳家は、さらに高い時給を得ることがあります。特に、法律や医学、技術などの専門分野では、専門知識が求められるため、時給が高くなることが一般的です。
派遣社員として働く場合は、企業の翻訳家やフリーランス翻訳家と比較して働く期間や仕事量が不安定な場合があります。しかし、派遣社員として様々な企業や業務に携わることで、経験やスキルを幅広く磨くことができるというメリットもあります。
平均時給1,372円
翻訳業務をアルバイトとして行う場合、時給や報酬は業務内容、地域、経験やスキル、専門分野などによって異なります。一般的に、日本で翻訳業務のアルバイトをする場合、時給は1,000円から2,500円程度の範囲が多いです。ただし、これはあくまで一般的な範囲であり、専門知識や経験が豊富な翻訳家は、さらに高い時給を得ることがあります。
アルバイトとして翻訳業務に従事する場合、派遣社員や正社員、フリーランスと比較して働く時間や期間が短いことが一般的です。また、アルバイトでは福利厚生が提供されないことが多いため、総合的な収入や待遇は他の働き方と比較して低い場合があります。
しかし、翻訳業務のアルバイトは、翻訳のスキルや経験を積むための手段として有益です。特に学生や翻訳家としてのキャリアをスタートさせたい方にとって、アルバイトは経験を積む良い機会となります。また、アルバイトは柔軟な勤務形態が多いため、他の仕事や学業と並行して翻訳業務に従事することが可能です。
言語スキルの向上:
英語力を上げないことには、翻訳家としての成長はないでしょう。
翻訳者としての言語スキルを磨くことが、より高品質な翻訳を提供し、収入を向上させるための鍵です。両言語の文法、語彙、構文を正確に理解し、表現力を向上させることで、顧客からの信頼を得られます。
多くの翻訳家たちが長い下積み期間を経て成功を収めています。
戸田奈津子(Toda Natsuko, 1950年生まれ)は、日本の翻訳家で、主に英語から日本語への翻訳を手がけています。彼女は、児童文学やミステリー、ファンタジーなど幅広いジャンルの作品を翻訳しており、その翻訳スキルが高く評価されています。
彼女が翻訳した作品の中でも特に有名なものは、ロアルド・ダールの「ジャイアント・ピーチ」、「チャーリーとチョコレート工場」、「バッグス・バニー」などの児童文学作品です。また、彼女はアガサ・クリスティのミステリー作品や、フィリップ・プルマンの「ライラの冒険」シリーズなども翻訳しています。
戸田奈津子の翻訳作品は、原作の魅力を忠実に再現しつつ、日本語として自然で読みやすい表現を心がけています。また、彼女は児童文学作品を翻訳する際に、子どもたちが理解しやすく楽しめる言葉を選ぶことに特に力を入れており、その翻訳スタイルが多くの読者から愛されています。
彼女は、翻訳家としての経験やノウハウを後進に伝える活動も行っており、翻訳教育にも尽力しています。
村上春樹は、日本の著名な作家であり、独自の文体と緻密な描写で世界的に評価されています。彼自身も翻訳家として活動しており、英語圏の作品を日本語に翻訳しています。彼が翻訳した主な作品には、F・スコット・フィッツジェラルド、レイモンド・カーヴァー、ジョン・アイヴィディ・リンダクイスト、ポール・オースター、J.D.サリンジャーなどの著作があります。
村上春樹が翻訳家としての活動を始めたのは、1980年代初頭で、そのきっかけはF・スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」を翻訳したことでした。その後も彼は、レイモンド・カーヴァーの短編集「キャスドラル」やJ.D.サリンジャーの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」など、数多くの作品を翻訳しました。
彼の翻訳は、原作の雰囲気や言語のニュアンスを大切にしつつ、日本語として自然な表現で読みやすくすることに力を入れています。また、村上春樹の独特な文体や感性が翻訳作品にも反映されており、多くの読者から高い評価を受けています。
翻訳家としての活動を通じて、村上春樹は自身の創作活動にも影響を受けています。彼は、翻訳作業が自分の作品の構成や文体に対する考え方を深める機会となっていると述べています。
ハリーポッターシリーズの翻訳家として知られる松岡佑子さん。
日本の著名な翻訳家であり、英語から日本語への翻訳を専門としています。彼女は、ポール・オースターやミシェル・ウェルベックなどの作家の作品を翻訳しており、その翻訳スキルと感性が高く評価されています。
松岡佑子は、父親が外交官であったことから、幼少期からアメリカやイギリスでの生活を経験し、英語を身につけました。その後、東京外国語大学で英米文学を学び、フリーランスの翻訳家としてキャリアをスタートさせました。
彼女が翻訳家としての評価を高めたのは、ポール・オースターの作品「ニューヨーク・トリロジー」を翻訳したことがきっかけでした。この作品は、独特の文体と難解なプロットが特徴であり、松岡佑子の翻訳力を試す絶好の機会でした。彼女はこの作品を見事に日本語に翻訳し、その評価は高まりました。
松岡佑子は、翻訳家としてのキャリアを通じて、多くの文学作品を日本の読者に届ける役割を果たしています。彼女の翻訳作品は、その精巧な言葉遣いと感性によって、原作の魅力を最大限に引き出すことが評価されています。また、彼女は翻訳界での教育や後進の指導にも力を入れており、翻訳家として多大な影響を与えています。
この記事では翻訳家の年収について解説させていただきました。
翻訳家の年収は雇用形態やなんの翻訳をするかによって大きく変わりますが、フリーランスとして売れることができれば、莫大な年収を稼ぐこともできます。
そのためには英語力、日本語力が必要なのはもちろんのこと、大きな仕事が自分のところにやってくるための人脈づくりも必要となるでしょう。
影に隠れてひっそり翻訳活動をやっていても、あまり稼ぐことはできないので、積極的に自分から仕事をとりにいく姿勢が大切です。
そして実績を積み重ねていくことで、戸田奈津子さんなどのように「あなたに仕事を頼みたい」という個人指名での依頼が来るようになります。
ですから語学力はもちろんのこと、積極的に人と関わることも必要となるでしょう。
There are no results matching your search.
ResetThere are no results matching your search.
Reset