グランドスタッフがしんどいと言われる8つの理由

仕事

航空業界の現場、一体どんな仕事が行われているかご存知でしょうか?パイロットや客室乗務員などは皆さんよくご存知の通りですが、実はその裏側で、飛行機の運行を支えるために活躍している職業があります。それが今回の主役、「グランドスタッフ」です。

「グランドスタッフ」と聞いて、具体的な仕事内容をイメージできない方も多いかと思います。そこで今回の記事では、グランドスタッフの日々の業務や苦労点について具体的に解説します。そのなかでも重要なキーワードが「しんどい」です。

なぜ「グランドスタッフ」が「しんどい」と言われるのでしょうか。その理由を、具体的な業務内容から考えてみます。クレーム対応の難しさ、学ぶべき事が尽きない仕事量、女性主体の職場での人間関係、そして他業界で活かせにくいスキルといった観点から、「グランドスタッフ しんどい」と言われる背景を探ります。

「グランドスタッフ しんどい」とは一体何なのか、その実態を理解することで、航空業界の仕事に対する理解を深めることができるはずです。これから航空業界に進む方、あるいはすでにグランドスタッフとして活躍されている方にとっても、きっと参考になる内容となっています。

グランドスタッフがしんどいと言われる8つの理由

第1章:筋肉痛との戦い:常時重労働が求められるグランドスタッフの日常

僕らが旅行や出張で空港を利用するとき、チェックインカウンターや搭乗ゲートで出会う、あのスマートな制服を着たグランドスタッフの方々。その見た目からは想像もつかないくらい、彼らの仕事は”しんどい”ものなのです。

まず考えていただきたいのは、お客様のスーツケースの重さ。20kgという数字は、実際には想像以上に重いです。その重さを持ち上げることを考えただけでも息が苦しくなりませんか?それがグランドスタッフの日常業務の一部。1日に数回では済まされず、何十回という回数が当たり前。そしてそれが毎日続くのです。

さらに考えていただきたいのが、歩く距離。空港は広大なスペースを持っています。チェックインカウンターから搭乗ゲートまでの距離、それを往復することを想像してみてください。一度だけでもきつい距離ですが、それが何度も何度も繰り返される。加えて、搭乗時間になっても来ないお客様を探すために空港内を探し回ることもあります。

これらの業務を終えた時、僕らが思うことは「しんどい」以外の何ものでもありません。筋肉痛になることも珍しくありません。運動をしているわけではないのに、身体がダルく、肩や腰に痛みを感じることもあります。

重労働がしんどいと感じる理由の一つは、人間の身体が持つ能力を超えた負荷がかかるからです。例えば、世界保健機関(WHO)は、定期的な重い物の持ち上げは腰痛のリスクを増大させると指摘しています(”World Health Organization. Musculoskeletal conditions.” https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/musculoskeletal-conditions)。

さらに、歩く距離については、「日本の健康づくりのための指針」では1日に7500歩以上歩くことを推奨しています(”厚生労働省. 日本の健康づくりのための指針.” https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html)。しかし、グランドスタッフはこれを遥かに超える歩数を踏んでいるのです。

以上のような状況からも、グランドスタッフの仕事がどれほど肉体的に厳しいものであるかを理解いただけたでしょうか。それでも彼らは微笑みを絶やさず、スマートな服装で、僕らの旅をサポートしてくれています。次回空港を利用する際には、その努力を思い出していただければと思います。

第2章:薄給の矛盾:グランドスタッフの労働と報酬のアンバランス

「働き方改革」、「適正な労働報酬」などという言葉が注目を浴びる今日この頃。労働者の待遇改善が叫ばれている中、グランドスタッフの働き方と給与には明らかなアンバランスが存在します。そして、その給与の低さが彼らが”しんどい”と感じる一因となっています。

羽田空港の国内線グランドスタッフの給与は、約190,000円~220,000円程度。国際線でも約190,000円~240,000円程度です。これは、他の職種と比較しても少ないといえます。日本の労働者の平均給与は300,000円を超えています(”日本の給与データ” https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html)。それに比べれば、明らかに低いと感じるでしょう。

しかも、その給与に見合った労働が求められるわけではありません。前章でも触れた通り、彼らの仕事は極めて重労働。覚えることもたくさんあり、早朝深夜の勤務もある。それにも関わらず、給料が安い。これが”しんどい”と感じる原因の一つと言っても過言ではありません。

このような状況は、離職率の高さにもつながっています。労働者が次々と離れていく背景には、「もっと報酬に見合った労働を求めて」という意識があるのかもしれません。

そして、離職が多いということは、新規の人材が常に必要ということ。結果として、新人教育のための時間と労力が増え、既存のスタッフの負担が増大します。これもまた、働き方が”しんどい”と感じる一因となるでしょう。

第3章:ヒールでの戦場:女性グランドスタッフが直面する身体的ストレス

空港のチェックインカウンターや搭乗ゲートでは、清潔で整った制服に身を包み、笑顔でお客様を迎える女性グランドスタッフをよく見かけます。そして彼女たちの足元を見ると、しばしばヒールが見受けられます。ただ、そのエレガントなヒールの下には、彼女たちが”しんどい”と感じる隠された理由があるのです。

それは、ヒールを履いての過酷な労働。彼女たちは、重労働で、空港内を歩き回り、時には走り回らなければならない。それなのに、ヒールを履かなければならないのです。高いヒールを履いての歩行や走行は、足や腰に大きな負担をかけます。それは一日だけでなく、毎日続けなければならないため、その身体的ストレスは想像以上にしんどいでしょう。

ある研究によれば、ヒールを履くことは足のアーチ(弓形構造)を保つための筋肉に負担をかけ、それが足や腰の痛みにつながることが示されています(”High heels as supernormal stimuli: How wearing high heels affects judgements of female attractiveness” https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1474704913484665)。つまり、ヒールを履き続けることで身体への負担が増大し、それが痛みを生じさせるのです。

また、これは女性グランドスタッフだけの問題ではありません。この問題により、職場環境や女性の労働環境全般に影響を及ぼしているかもしれません。身体の健康は精神の健康にも直結しますから、足腰の痛みは彼女たちの心理的な負担を増加させ、仕事への集中力を低下させる可能性もあります。

たしかに、ヒールは制服の一部として見栄えを良くする効果がありますが、それが職務を遂行する上での大きなハードルになっているのも事実です。ヒール着用という、一見些細なように見えるこの問題が、女性グランドスタッフが”しんどい”と感じる一因となっていることを理解していただければと思います。

第4章:時間の乱れ:24時間営業空港とグランドスタッフの生活リズム

さて、ここであなたに問いたいのですが、「24時間営業」のビジネスを思い浮かべることはできますか?コンビニエンスストアやカフェ、そして空港。そう、空港は24時間、旅行者や商人、旅人たちを迎え入れています。これは空港が国際的な人々の移動を可能にする重要な場所だからです。ただ、ここで問題になるのが、その24時間営業に支えられるグランドスタッフの生活リズムです。

特に、グランドスタッフがしんどいと感じる一つの大きな要因は、その不安定な生活リズムでしょう。一日を通してフライトがあり、それに対応するために、早朝のシフトに当たることもあれば、深夜のシフトに当たることもあります。このような不規則な生活パターンは、身体にとって非常にしんどい状況を作り出します。

なぜなら、自律神経が乱れる可能性があるからです。自律神経は、私たちの生活リズムを整える役割を担っています。寝ているときには体を休息状態にし、起きているときには活動的な状態にするといった調整を行っています。しかし、昼夜逆転したり、不規則な働き方をしていると、自律神経がそれに適応するのは難しくなります。

特に女性はこの自律神経の乱れによる影響を受けやすいとされています。そのため、特に女性のグランドスタッフはこの問題に直面し、それが仕事をしんどいと感じる一因になっているでしょう。

24時間稼働する空港で働くことは、その魅力ある一方で、グランドスタッフたちが向き合わなければならない数多くの課題を生むのです。

第5章:顧客の怒りを受け止める:グランドスタッフとクレーム対応の難しさ

ある日、空港のチェックインカウンターで働いているグランドスタッフの元に、怒った顧客が突然現れます。この顧客は、自分が予約していた座席が他の誰かに取られてしまったと主張しています。しかし、確認すると座席は正しく割り当てられています。あるいは、荷物の重量制限を超えているにも関わらず、それを受け入れずに騒ぎ立てるお客様がいるかもしれません。あるいは飛行機に乗り遅れたのに、それをグランドスタッフのせいにするお客様がいるかもしれません。

このようなシチュエーションは、空港のグランドスタッフにとってはしんどい現実の一部です。なぜなら、彼らはあくまで航空会社の顔として、お客様と対面する仕事をしているからです。彼らは華々しい仕事をしていますが、それと同時に、クレーム対応という厳しい役割も担っています。

日々、グランドスタッフは多くの人々と対面し、その中には困難な状況に直面している人々もいます。彼らは自身の問題を解決するために、グランドスタッフに対して怒りをぶつけることもあります。これはグランドスタッフにとって非常にしんどい状況を作り出すのです。

グランドスタッフが日々直面しているクレーム対応の難しさは、その職業がしんどいと言われる一因であることは間違いありません。顧客の怒りに対応しなければならないプレッシャーは、明らかにストレスをもたらします。

第6章:知識の海を泳ぐ:学ぶべき事が尽きないグランドスタッフの仕事

ここで、グランドスタッフがしんどいと感じる理由の一つを考えてみましょう。それは、彼らが毎日、それこそ毎分毎秒、学ばなければならないことが尽きないからです。チェックイン業務、搭乗ゲート業務、そして、航空機の遅延や欠航といったイレギュラー対応。これらすべてが、グランドスタッフが扱わなければならない仕事の一部であり、その都度新しい知識を吸収し、学び続けなければならないのです。

それだけでも十分にしんどいと感じるかもしれませんが、実際のところ、それだけが彼らが学ぶべきことではありません。例えば、航空会社のマイレージプログラムや、クレジットカード特典など、さまざまな情報についても知識を持つことが求められます。

一つ一つを見ていくと、その量は圧倒的です。これらすべてを一人で学ぶのは、なかなかに困難でしょう。それが、グランドスタッフの仕事がしんどいと言われる一因なのです。

例えば、チェックイン業務を取り上げてみましょう。ここで必要とされる知識は、乗客の予約状況の確認、座席割り当て、重量制限の適用、旅行文書の確認、乗客の特別なニーズへの対応など、実に多岐にわたります。これらはすべて基本的な業務であり、乗客と直接対面するグランドスタッフがしっかりと理解し、適用することが求められます。

それだけではありません。グランドスタッフは、フライトが欠航や遅延となった場合の対応も学ばなければならないのです。ここでは、乗客への情報提供、代替フライトの手配、宿泊施設の手配など、様々なタスクが求められます。このようなイレギュラーな状況は、予測することが難しく、それぞれ異なる対応が必要となります。そのため、これらのタスクをこなすためには、常に新しい知識を身につけ、柔軟に対応することが求められます。

このように、グランドスタッフの仕事は、知識を求められる範囲が広く、それぞれが深い専門性を持つものが多いです。それ故に、グランドスタッフは日々新しい情報を学び、その都度新しい知識やスキルを身につけていくことが求められるのです。これが、グランドスタッフの仕事がしんどいと感じる一因と言えるでしょう。

第7章:微妙な人間関係:女性主体の職場での人間ドラマ

一つには、人間関係の難しさもグランドスタッフがしんどいと言われる理由です。特に航空業界におけるグランドスタッフの職場は、女性が多いことが特徴で、これが特有の難しさをもたらします。

そこで繰り広げられるのが、女性特有の微妙な人間関係です。これは一般的なオフィスで経験するようなものとはまた一味違います。気を使う、配慮する、仲間意識を持つことはもちろん大切な要素ですが、それが逆に疲労感を増大させる場合もあるのです。そう、しんどいと感じる要因の一つなのです。

ネットには、このような現象について語られる経験談が多数掲載されています。「先輩社員に気を遣わなければならず、先輩の機嫌を損ねないように立ち回る必要がある。」「お客様や同僚の悪口を平気で言う先輩社員がいる」「自分を守るためなら平気で嘘をつく。」「都合よく相手を利用する女ばかり」などの声が挙がっています。

さて、これらの経験談は全ての女性グランドスタッフに共通するわけではないでしょう。もちろん、尊敬できる優しい方も多いのです。しかし、その一方で人間性を疑うような行動をする人も存在します。また、新人が入社したばかりの頃は性格が良く、周囲との調和を保つことができていたとしても、このような職場環境に長くいると、徐々に陰湿な性格になる人も多いのだとか。

これは、特に女性が多い職場環境で起きやすい問題です。男性が多い職場では、物事が直接的で、コミュニケーションも明快であることが多いです。しかし、女性が多い職場では、直接的でないコミュニケーションが増え、それが理解しきれない人間関係のもつれを生むことがあります。これが、しんどさの一因となっているのです。

しかし、これは決して女性だからこそ生じる問題ではなく、人間関係の難しさが顕在化する現象と言えます。人間関係の悩みは、男女を問わず、どの職場にも存在するものです。しかしながら、その現れ方や影響の度合いが異なるだけです。特に航空業界のように、ストレスが伴う職場で、様々な事象が重なると、しんどいという感情が増幅されるのです。

第8章:他業界で活かせないスキル:グランドスタッフのキャリアパスの難しさ

他業界で活かせないスキル:グランドスタッフのキャリアパスの難しさ

“しんどい”と感じる理由の一つとして、グランドスタッフの業務経験が他の業界で活かしにくいという問題があります。これは、キャリアの成長や変化に対する懸念を生むため、働き続ける中で心身の疲労感を増幅させる可能性があります。

グランドスタッフとしての仕事は、社会的意義を持つ一方で、得たスキルが他の業界への転職時に直接的に活用できるものではないことが少なくありません。ここでは、その現実を詳しく検討してみましょう。

ホテル業界やレストランなどの他のサービス業界では、グランドスタッフとして培った接客スキルやプロフェッショナルなサービスマインドが評価される可能性はあります。しかし、これらの業界への転職が全てのグランドスタッフに適しているわけではありません。一部の人々はよりクリエイティブな仕事、例えばマーケティングや企画などに挑戦したいと考えるかもしれません。

しかし、ここで問題となるのが、これらの仕事への転職を望む場合、グランドスタッフとしての経験がそれほど役立たないということです。これらの職種では、特定の知識や技能、経験が求められます。マーケティングの仕事では、市場調査、広告戦略、データ分析などのスキルが必要ですし、企画の仕事では、新商品開発、イベント計画、プロジェクト管理などの知識が必要です。

これらのスキルは、グランドスタッフの日常業務とは異なります。そのため、転職を考える際、全く未経験の状態からのスタートになる可能性があります。これは自信喪失や不安感を引き起こし、しんどいと感じる要因となるのです。

おわりに

グランドスタッフのしんどさを理解することは、私たちが利用する航空サービスの裏側を知ることにつながります。そして、その理解は更なる航空業界の進化を促す一歩となるはずです。

まずは自分自身が空港を利用する際に、グランドスタッフの働きに感謝の気持ちを持つこと。それがグランドスタッフのしんどさを少しずつでも軽減する一助になるでしょう。また、それを通してより良い航空業界を作るきっかけにもなります。

我々がスムーズに旅行や出張で飛行機を利用できるのは、彼らの努力があってこそです。グランドスタッフの仕事がいかに「しんどい」でも、その先には無数の人々が旅を楽しむ喜びが待っています。それを支える彼らの存在を、私たちは忘れてはなりません。

これからも、グランドスタッフに対して理解と感謝を持つことで、より良い航空業界の未来を共に描いていきましょう。

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